石橋を叩いて渡るの意味
用心の上にも用心を重ねることや、念には念を入れることを『石橋を叩いて渡る』という、ことわざを用いて表されることがありますよね。
堅固に見える石橋でも、叩いてその堅固さを慎重に確かめてから渡るの意。
引用:コトバンク
さらに『石橋を叩いて渡る』という言葉は
不安でなかなか行動に移せない人
考えすぎてなかなか決断できない人
などの性格を表す時にも用いられます。
そのため『石橋を叩いて渡る性格の人ほど、チャンスを逃して損をしてしまうのではないか?』と思われる人も多いと思います。
しかし、石橋を叩いて渡る性格だからこそ備える優れた長所があり、実は成功しやすいんです。
そこで、石橋を叩いて渡る性格の特徴や優れた長所、成功しやすい理由をお伝えしていきます。
石橋を叩いて渡る性格の3つの特徴
『石橋を叩いて渡る』が性格に用いられる時は、主に以下のような要素を含む人に使われることが多くあります。
- 慎重に考えすぎる
- 用心深く心配性
- なかなか行動できない
そして、これら3つの要素は『内向型』と呼ばれる気質を持っている人に多く見られます。
『内向型』とは心理学者のカール・ユングが唱えたパーソナリティーの1つです。
内向型と外向型の最も大きな違いは『刺激に対する感度の違い』です。
刺激に対する感度は『DRD4(ドーパミン受容体)』遺伝子の長さで決まると言われている。
内向型はDRD4遺伝子が短く、刺激の許容量が少ないため、刺激に敏感(高反応)
外向型はDRD4遺伝子が長く、刺激の許容量が多いため、刺激を求める(低反応)
そして、刺激に敏感な性質を持つ内向型には以下の3つの特徴があるため『石橋を叩いて渡る性格』になりやすい。
- リスクに敏感
- 報酬に対する感受性が低い
- 特殊好奇心が強い
1つずつ解説していきます。
リスクに敏感
人間はそれぞれ最適な刺激量が異なり、自分に適した刺激を求めた選択や行動を行うと言われています。
人には、最適な覚醒水準が存在し、最適な覚醒水準からそれると、最適覚醒水準に戻そうとする動機づけが働く
そのため刺激に敏感な内向型は、無意識に強い刺激を避け、安全な環境を好みます。
その結果『リスクに敏感』になりやすい特徴を持っています。
神経生物学的に見ると内向型人間は「安全追求型」、言わばよい特性です。
周囲をよく観察し、十分考えてからでないとリスクを伴うことに関わろうとはしません。とにかく危険を避けようとします……。
また内向型は『合理システム』と呼ばれる長期記憶を中継する情報処理を行います。
内向型の人が合理システムの活性化レベルが高く、意思決定場面で合理システムを用いる
そして長期記憶はネガティブな情報ほど保存すると言われています。
なぜなら人間には『危険から身を守る』という本能が備わっているからです。
ネガティブな記憶のほうが脳に刻み込まれやすいと言われています。
私たちの祖先は厳しい自然環境を生き延びるため、楽しかった出来事を思い出すよりも、苦しかった出来事を思い出して危険を回避するほうを優先させなければならなかったのでしょう。
引用:宇治おうばく病院
このように長期記憶を中継する内向型ほど、危険を察知しやすくリスクに敏感な特徴を持っています。
報酬に対する感受性が低い
また刺激に敏感な内向型は、少ない刺激で脳が覚醒し満足感や心地よさを感じます。
そのため、報酬やスリルなどの強い刺激に対する感受性が低い。
『石橋を叩いて渡っているうちにチャンスを逃すかもしれない』と普通の人は思うと思います。
しかし内向型の場合、そもそもチャンスへの関心が低く、リスクを追うくらいならチャンスなんていらないと考えます。
特殊好奇心が強い
さらに刺激に敏感な内向型は『特殊好奇心』が強く、外向型は『拡散好奇心』が強いと言われいる。
特殊好奇心とは『刺激を抑える時に働く好奇心』で、主に知識欲求を満たすような弱い好奇心です。
逆に、冒険心などの『強い刺激を求める時に働く好奇心』のことを拡散好奇心と言います。
特殊好奇心が強いと『ワクワク感』よりも『モヤモヤ感』に対する感受性が高く、不安や恐怖、不明瞭なことを解消することに力を注ぎます。
そのため、慣れた環境を好み、新しい環境では安心や安全を確認するまで用心深く行動します。
以上のように内向型は刺激に敏感なため、リスクに敏感で、チャンスより安定を求め、不安を解消することに力を注ぐ特徴を持っています。
だからこそ『石橋を叩いて渡る性格』になりやすいんですね。
反対に刺激を求める外向型は『報酬追求型』と言われ
『早起きは三文の得』
『チャンスは2度と来ない』
『伸るか反るかの賭けに出る』
といったように石橋を叩く暇があったら、とにかく行動してチャンスをものにしようとします。
その結果、思いつきの行動が多く、失敗も多いんですよね。
外向型が内向型よりも、交通事故死や事故による入院、危険なセックス、危険なスポーツ、不倫、再婚などの確立が高い
引用:内向型人間のすごい力
石橋を叩いて渡る性格の優れた3つの長所
ここまでお伝えしたように内向型は『リスクに敏感』『報酬への感受性が低い』『特殊好奇心が強い』という特徴を持っています。
そして、これらは裏を返すと以下のような優れた長所になるんですよね。
- 成功率を高められる
- 幸せを感じやすい
- 高い専門性を身につけられる
1つずつ解説していきます。
成功率を高められる
リスクに敏感な内向型は、念入りに下調べをしたり、準備に力をいれて、危険や失敗を回避しようとします。
そのため、じっくり状況を分析したり、理論やパターンなどを信頼するなど、本質的理解を重視します。
また、それらの情報を元に自分でもじっくり考え、念蜜に計画し、慎重に行動に移します。
逆に報酬に敏感な外向型は、情報をそのまま受け取り、じっくり考えるよりもまず行動に移そうとします。
そのため、経験や感覚に頼ったり、思いつきで行動することが多くなります。
このように内向型は確実性を重視して、まずは念入りに地盤を固めてから事を進めようとするんですよね。
その結果、成功率が高いことがわかっています。
強いスリルを求める外向性に関連する遺伝子(DRD4)が長い人は、経済的なリスクを負う可能性が高いことを発見した。
対照的に、内向性を敏感さに関連する遺伝子に異変がある人は、リスクを負う確立が前者よりも28%も低かった。
さらに彼らには、複雑な意思決定を必要とするギャンブル・ゲームでもよりよい結果をあげた。
引用:内向型人間のすごい力
幸せを感じやすい
人間には『セロトニン幸福』『オキシトシン的幸福』『ドーパミン的幸福』の3つの幸せがあると言われています。
『セロトニン的幸福』は、運動や食事で手に入れることができます。
『オキシトシン的幸福』は、人間や動物との繋がりで手に入れることができます。
『ドーパミン的幸福』は、お金や地位・名誉などによって手に入れることができます。
内向型はDRD4遺伝子が短いため、多くのドーパミン(報酬)を必要としません。
だからこそ、少し運動をしたり、たまに親密な友人と会うという普通の日常の中でも十分幸せを感じられます。
高い専門性を身につけられる
また刺激を抑えるために働く『特殊好奇心』は、方向性を定めて、モヤモヤ感が解消するまで徹底的に追求するという強みがあります。
そのため特殊好奇心が強い内向型ほど『高い専門性』を身につけられるということです。
- 特殊的好奇心は、情報や物事の不整合に鋭敏に反応し、生じた不調和を徹底的に解消するまで粘り強く努力する行動
- 特殊的好奇心は、認知構造の発達を目指す行動である。つまり今ある知識をより深め、より確かなものへしていく好奇心である
そして、今後は『高い専門性』を持った人ほど価値が高まっていくと言われています。
なぜなら、インターネットが登場して誰でも気軽に情報を入手できるようになったからです。
その結果、ネット上では手に入らないような『高い専門性』にこそ、価値がついていくんですね。
専門性の低い技能は、ウィキペディアやGoogleアナリティクのようなオンラインサービスによって急速に取って代わられつつある。
引用:WORK SHIFT
以下の記事では『特殊好奇心』が高いという内向型に適した仕事を紹介しています。
興味があれば、ぜひ1度読んでみてくださいね。
このように『石橋を叩いて渡る性格』だからこそ備えてる優れたメリットがあります。
そして、このメリットを活かすことで、幸せな人生を送れるようになります!