音響エンジニアの仕事を辞め、人生はじめての無職を味わうMu。
しかし内向的な自分でもできる仕事が見つからず焦る日々。
将来への不安と無職に対する葛藤から抜け出すため夜な夜な1人走り出す。
すぐに心の変化が起こり、とんとん拍子で転職が決まり人生が好転していく。
しかし、人と関わらない仕事を求め、新たな1歩を踏み出そうとする。
内向的な性格でキャリアもない僕に訪れた人生の岐路
飲料メーカーを退職し、再び人生を選び直す機会が訪れました。
しかし前回同様、仕事選びに苦労する日々が続きます。
すでに30歳を迎え、大したキャリアも積んでいなかったため
もう後戻りができないような気がして、人生の帰路に立たされた気分でした。

「人と関わらない仕事がしたい。でも、また契約社員かぁ。キャリアは積めないし、将来が不安だな。」
「それとも、普通の会社に転職して頑張るか?でも、また複雑な人間関係の中で惨めな思いをするのは嫌だな。」
悩みに悩んだ挙げ句、僕は違う選択肢を選びます。

それが起業でした。
どうせ後戻りできないなら、起業して自分の道を開きたい。
それが僕が出した答えです。
内向的な自分にも起業はできるのか?立ちはだかる起業の壁
僕は人と関わらずに1人マイペースに仕事をして生きていくことを目指した。
しかし実際起業に踏み切ろうとすると、なかなか踏み切れない自分がいた。
なぜなら、「自分が何をしたいのかわからない」からだ。

さらに、以下のように起業に対するハードルのイメージが高く
何から手をつけていいのか全くわからなかった。
- 人脈が広くなければ、仕事やお客さんを取れない
- 資金を貯めなければ、生活できない
- 事業が軌道に乗るまで、年単位必要
- 優れたアイディアを思いつき、今までにないようなことをやる
- 経営について、覚えることが山ほどある
- 事業の収益を上げるためには、人を雇う必要がある
そのため、自分1人で起業して、成功できる自信なんて持てなかったのが実際のところ。
結局僕は、起業の世界に踏み込めないまま、とりあえず工場勤務やバイトで食いつなぐ生活を送ります。
そんな状況が2年続いたある日、知り合いを通じてYさんというの1人の起業家に出会うことになります。
Yさんは、経営理論を一から勉強し、ゼロの状態から1人で事業を起こしたことのある起業家でした。
早速Yさんに、起業について相談してみると意外な返答が帰ってきます。
「それなら、僕がやってる事業を手伝ってみたらどう?手伝っていれば、起業の知識やノウハウは身につくと思うよ」
Yさんは、僕に事業を手伝わないかという提案をしてきたのです。

しかし、手伝うといっても、僕がYさんの事業の代理店を運営するというもの。
開業するのに25万円必要と言われました。
いきなりの提案だったので、さすがに戸惑いました。
でも、起業で成功する方法を知り、一刻も早く「自分らしい仕事で1人マイペースに生きていきたい」
そんな思いが強く、後日Yさんの提案を受けることにしました。
しかし、この選択が間違いだったとは・・・
外向型と内向型では起業のスタイルが違う
Yさんと出会い、一緒に仕事をはじめるようになってから、1つの不安が募るようになっていきます。
「やばい・・・。この人の性格、僕には合わないし苦手だ。一緒にいるだけで消耗する」
実はYさんはかなり外向的な性格の持ち主で、バイタリティー溢れる人間でした。

そのため、教えてもらう起業のノウハウも、とにかく行動が全てという感じ。
「名刺交換会に出て、事業のPRをしてみろ!」
「ブログやSNSで、事業のPRをしてみろ!」
「まずは行動!!考えるのはそれからだ!!」
確かに起業で成功するためには、どれも大切だと思いますが
まず行動から入っていくやり方が、内向型の僕には苦手で疲弊してしまったんですね^^;
また、行動ができていないと、そのことを突かれる。
経営理論を学んでいるはずなのに、教えてもらうことは全然理論的ではない。
内向型は慎重な行動するのが得意なので、物事を理論的に考えて失敗や非効率なことを避けようとします。

だからこそ、Yさんのやり方についていけず、どんどん精神的に追い詰められていっている自分がいました。
Yさんからの連絡があるたび、緊張で胸が締め付けられるようになり
話を出しても頭の中がパニックで真っ白になり、全然会話が成り立ちません。
そんな僕に対してYさんは、苛立ちと諦めを感じ、徐々に突き放していくようになります。
また僕自信も、このままYさんといると自分が壊れてしまうという危機感を持ち
1年が経つころ、Yさんから逃げるように離れていきました。

「起業は僕には向いてない」
起業への道が途絶えたことと、Yさんについていけなかった自分に対する怒りで
絶望の淵に立たされた気分でした。
「もう起業は諦めて、一生工場勤務のまま生きていこうかな・・・」
先行きの見えない将来に不安が募りはじめます。
しかし、ここから人生が好転していくとは、この時の僕は知る由もなく・・・。
最終話に続く