新卒で入社した会社を音響エンジニアの仕事に就いたMu。
しかし、ストレスが原因で1週間の入院生活を送ることに。
退院後仕事に復帰したが、「使えない社員」としてのレッテルを貼られた感じがしていた。
そんな僕にKさんという恩師が現れる。
Kさんのおかげで仕事ができるようになった僕だったが、ある日会社から出向命令が下る。
出向先で待ち受けたのは過酷な労働と差別的態度だった。
耐えきれず会社を辞めた僕だったが・・・。
無職=人間失格!?
音響エンジニアの仕事を辞めた僕だったが、その後2ヶ月間無職の期間が続いた。
毎日のようにハローワークに通ってはいたものの、なかなか仕事が見つからなかったからだ。
「内向的な性格」「前職で人間関係に失敗していたこと」
この2点を教訓として、次はなるべく「人と関わらない仕事」がしたいと思っていた。
しかし、その条件を満たす求人といえば、「工場勤務」や「ドライバー」など。
当時25歳だった僕は、それらの仕事を「一生の仕事」にしたいとは思えず
選択肢に入れたくなかったのだ。
また、「Webデザイナー」や「プログラミング」の仕事にも興味は湧いたが
中途採用の未経験者の自分が受かるはずがないと思っていた。
また、少し妥協すれば「ルート営業」や「事務職」などの、比較的人と関わらずにできる仕事もあった。
しかし、内向的な自分にできる自信がなかったこと。
さらに、ほとんどの求人が契約社員からのスタートで
正社員になれなかった場合、何年間かを無駄にしてしまうリスクを伴う。
そうやって悩み続け無職の状態が長引けば長引くほど、僕は精神的に弱っている気がしていた。
なぜなら、「仕事をしていない=人間失格」と周囲から思われていそうで
周りの目を過剰に気にするようになったからだ。
そのため、この期間は一切友達とも会わず、ハローワーク以外は家に引きこもるようになる。
しかし、自分の殻に閉じこもるほど、この先の将来に対する不安が大きくなり
恐怖やストレスで押しつぶされそうになる自分がいた。
内向的な性格を克服するために苦手な営業の道へ
そんな不安やストレスからどうにか解放されたい気持ちで一杯だった僕は
人目につかない夜に、少しずつ運動をして気分転換するようになった。
高校を卒業して以来、運動という運動を全くしてこなかったため
自発的に汗を流したのは実に7年ぶりだっただろうか。
しかし、自発的に運動をして汗をかくとストレスが和らぎ、すぐに心の変化が訪れたことに気がついた。
それまでは「自分は社会の落ちこぼれ」と感じる傾向が日を追うごとに強まっていたが
心に変化が起きたことで、「世の中に完璧な人間なんていない。だから自分もダメなところがあっていい」
そうやって、ダメな自分を認められるようになっていったんです^ ^
すると不思議なことに、今まで自分の欠点ばかりに意識が向いていたのが
自分の強みを意識しはじめるようになりました。
「確かに人と関わることは苦手だけど、1人で取り組む仕事は責任を持って粘り強く取り組むことができる」
それに気がついたことで、僕は意を決してルート営業の仕事に応募することにした。
その理由は、勤務形態が特殊で、余計な人間関係がなかったこと。
そして、内向的な性格を少しでも改善したいという気持ちがあったからだ。
結果として、僕は書類審査と面接に合格し、ルート営業として働きはじめることとなる。
内向的な人間に営業はできるのか!?
僕が転職したのは、大手飲料メーカーのルート営業だった。
主に取引先である量販店を回って、新商品や既存商品の受注を行うのが仕事。
そして、この会社に応募した理由は、以下のように余計な人間関係が少ないことに魅力を感じたからです。
- 担当の取引先は1人25程度。1日に5件の取引先を回ればOK
- 直行直帰がOKで、会社に出勤する頻度が少ない
- 基本、会社の人間とのやりとりはメール
つまり、1日5人程度としか関わらなくて良かったんですよね^ ^
また、誰でも知っているようなメーカーだったので、無理に売り込む必要もありません。
これなら、口下手で人見知りの僕でも、頑張れば出来そうだと思いました。
結果的にその予感は的中します。
最初こそ、人見知りな性格が邪魔で苦労しましたが、真面目にコツコツ取り組む姿勢や
以下の2つの人見知りの自分にもできる「相手が喜ぶこと」を考えて実行したことで
取引先からの信頼を勝ち取ることができ、入社から1年半で地区No.1の成績を挙げるようになりました。
- トークではなく、プレゼントで相手の気分を良くさせる
- 確実に売れるものだけを提案する
内向的な人は、警戒心が強く相手のことを観察してよく見ているので
相手の気持ちを察したり、細かな気遣いができます。
さらに、慎重な性格のゆえ、データや分析によって物事を理解・納得する特徴があります。
そのため、販売データをもとに確実に売れるものだけを提案することが可能です。
このように、内向的な自分に適した営業方法を身につけたことで
この仕事では成果を挙げることができるようになっていきました。
その後も、地区No.1の営業成績を3年連続継続することができ
全国的な賞も毎年取れるようになっていきますが、そんな努力も虚しく
契約期間の5年が経ち、僕は泣く泣くこの会社を退職します。
そこからまた辛く病む人生が待ちうけていようとは・・・
第4話に続く